食中毒にご注意~暑い日のお弁当づくり~

受験生の食卓~心とからだをめぐる栄養コラム~
食中毒にご注意 ~暑い日のお弁当づくり~


じめじめとした天候にいまいち気分が上がらない人間をよそに、元気になり始める食中毒菌

体調管理が受験生にとって必須事項!食中毒は何がなんでも避けたいところ。

今回のコラムは、家庭でできる食中毒予防のポイントをお伝えいたします。

6月~8月に多い食中毒

暑い時期に発生する食中毒の多くの原因は細菌。
これらは室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間の体温ぐらいの温度で増殖スピードが最も速くなります。
また、湿気を好む性質から梅雨の時期は細菌による食中毒が増えてしまいます



主な原因となる細菌をご紹介していきます


  • 腸管出血性大腸菌(O157など)


  • 加熱不十分な肉や生の肉を食べることで発症し、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢が主な症状です。
    重症化すると死に至る場合もあります。


  • カンピロバクター


  • 国内で発生件数の多い食中毒菌
    低温調理(鶏ハム)や加熱不十分な鶏肉(炙りなど)を食べることで発症し、下痢、発熱、嘔吐などの症状が現れます。


  • 黄色ブドウ球菌


  • 黄色ブドウ球菌は人の鼻腔や傷口などに生息しているため、手指に傷のある状態や鼻をかんだあと素手で調理をおこなう、おにぎりや寿司を握る、漬物を混ぜることで発症します。
    吐き気、嘔吐、下痢などの症状がみられます。



    食中毒予防の3原則「つけない、増やさない、やっつける」

    1.つけない

    手から食べ物へつけないことがとても大切。
    「調理前」、「トイレ後」、「鼻をかんだ後」、「おむつ交換後」、「動物に触れた後」などは必ず手を洗いましょう。

    また、生の肉や魚などを切ったまな板から生野菜などへ菌が付着しないように、「下準備の順番に気を付ける」、「使用の都度洗剤で洗う」などを意識してみましょう。

    肉・魚用とその他の食材用とまな板を使い分けるのもおすすめです。

    作ってすぐに食べない場合(弁当、作り置き)、おにぎりはラップで包みながら握る、サンドイッチやハンバーグは使い捨て手袋を使用すると衛生的な状態を保てます。


    2.増やさない

    細菌の多くは高温多湿な環境を好みます。
    10℃以下では増殖がゆっくりマイナス15℃以下では増殖が停止します。

    そのため、肉や魚などは購入後すぐに冷蔵庫へ入れましょう。
    あとで料理するからと出しっぱなしにしない、購入後に長めの寄り道をしないようにご注意を。

    塾などに持参する弁当も、しっかりと冷ます、保冷剤を活用するだけでなく、コンビニなど市販品に頼るのも賢い選択です。


    3.やっつける

    ほとんどの食中毒菌は加熱によって死滅します。特に肉料理は中心までよく加熱することが大切です。

    食材の中心温度が75℃で1分以上が基本なのですが、調理用の温度計があるので活用してみてください。

    弁当や間食用のおにぎりを長時間持ち歩く際は、焼きおにぎりにするのもおすすめです。

    この3原則は厚生労働省のホームページにも詳しく紹介されています。



    食中毒を防ぐ6つのポイント

    食中毒予防の3原則「つけない」、「増やさない」、「やっつける」と合わせて、食中毒を防ぐ6つのポイント「食品の購入」、「家庭での保存」、「下準備」、「調理」、「食事」、「残った食品」の6つのポイントも一緒に押さえましょう。

    1.食品の購入(寄り道しないでまっすぐ帰ろう)
    2.家庭での保存(帰ったらすぐ冷蔵庫へ!)
    3.下準備(冷凍食品の解凍は冷蔵庫で)
    4.調理(加熱は十分に!)
    5.食事(食事の前に手を洗う)
    6.残った食材(早く冷えるように小分けにする)

    詳しくは厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」を参照ください



    弁当づくりのポイント

    持ち歩くからこそ衛生管理に注意したいお弁当。



    ※菌の増殖を防ぐ酢を使った炒め物


    以下のポイントを押さえて実戦!

    1.手と食材を洗う
    2.清潔な弁当箱を使う(パッキンを外して洗う、十分に乾かしておく)
    3.しっかり加熱し、汁気は切る・飛ばす
    4.作り置きのおかずは再加熱する
    5.おにぎりはラップで包んで握る
    6.冷ましてからつめる
    7.詰める際は使い捨て手袋や箸を使う、小分けカップは使い捨てにする
    8.保冷剤や保冷バッグを使う、冷凍ゼリーを入れておく
    9.抗菌シートを使う



    常に心掛けたいこと、それは「正しく手を洗おう!!」

    手に付着した細菌やウイルスは水で洗うだけでは取り除けません

    なぜなら、手のしわの奥にひそんでいたりするからです。
    そのため、さっと濡らすだけのような手洗いだと、表面には細菌やウイルスが残ったままに。石鹸やハンドソープを使ってしっかり手洗いをして、調理にのぞみましょう。

    詳しくは、正しい手洗いできていますか?………コープこうべ商品検査センターを参照ください



    次回のテーマは「朝ごはん」

    更新は7/20(火)を予定しています。
    どうぞお楽しみに!



    text by後藤優子/Yuko Goto
    プロフィール:スポーツ栄養士×アスレティックトレーナー。ジュニアからトップアスリートの食事サポート、調理イベント、子どもの食育セミナーなどを行う。東京を中心に活動中。アイドルとカレーが好き。



    後藤優子さんのコラム⇒「食×スポーツ(人生を豊かに。マルゴトキカク。」